核融合プラズマのデジタルツインによる予測制御の初実証 ―データ同化の適応予測制御への応用―

磁場閉じ込め方式による核融合発電を実現するには、長い時間にわたって一億度を超える超高温プラズマを制御することが必要となります。しかしながら、核融合プラズマの複雑な挙動を予測して制御することは、物理モデルの予測精度が不十分なことや未解明な事柄が多いことなどから挑戦的な課題となっています。
原子核工学専攻の森下侑哉 助教、村上定義 同教授、釼持尚輝 核融合科学研究所助教、舟場久芳 同助教、横山雅之 同教授、長壁正樹 同教授らと上野玄太 データサイエンス共同利用基盤施設教授・統計数理研究所教授の研究グループは、大型ヘリカル装置(LHD)において、データ同化と呼ばれる数理的技術を応用した新たな予測制御システムを開発し、その制御能力を世界に先駆けて実証しました。このシステムは、リアルタイムの計測情報に基づいて予測モデルを最適化することで、モデルが予測するプラズマの挙動を現実のプラズマの挙動に近づけることができます。さらに、その予測をもとにプラズマの制御を行うことができます。モデルの予測精度を高めた状態で最適な制御を推定できるため、これまでは困難であったプラズマの密度や温度分布の制御をはじめ、プラズマ内部からの熱の逃げやすさといった直接計測していない量の制御にも適用でき、核融合炉制御の基盤技術となることが期待されます。

この研究成果をまとめた論文がScientific Reportsに1月17日に掲載されました。

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